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平和

原水禁世界大会報告(12)

次世代に伝えていくために

城東支部 こばとの森保育園分会 中村 民子

私は3年前に長崎で行われた原水爆禁止世界大会に初参加し、たくさんの学びを得ることができたのでぜひ広島にもと思い今回も参加させていただきました。
旅立つ数日前に、学童保育クラブの子どもたちと保育園の4・5歳児の子どもたちが「行ってらっしゃい会」を開いて、千羽鶴を手渡してくれました。学童の子どもたちは、毎年この時期に指導員から平和のお話を聞いて千羽鶴を作る取り組みを行っているので、私たちが広島へ行く意味が理解できているような感じでしたが保育園児が理解するのには難しかったようです。前日の昼食時に「もう戦争には行ったの?」と5歳の男の子に声をかけられ、戸惑ってしまいました。
この子たちにわかるように伝えるにはどんな言葉を使えばいいのだろうと今も考えをめぐらしています。そんな出来事があり、また広島には旅行で何度か訪れていて一通りの観光名所は見物済みのため寄り道せずに、大会で発信されるすべてことを聞いて感じて考えてみようと思いました。

2日目、「被爆の実相普及 原爆展・被爆体験の継承」という分科会に参加しました。会場は予定人数を上回る参加者であふれ、20代30代の若い人の参加が目立ちました。
実際に広島で被爆を体験した86歳の浜恭子さんのお話や海外では、水爆実験が行われたマーシャル諸島の被爆2世のジェルトン・アンジャインさん、イギリスの植民地時代に軍に雇われ空中核爆弾実験に7回も参加せざるをえなかったフィジーのポール・アーポイさんの実体験をお聞きしました。長いことつらい苦しみを背負っているからでしょうか、3人共とても穏やかで淡々とした静かな語り口でした。広島・長崎の被爆だけでなく、海外でもたくさんの核実験が住民に危険であることを知らせずに行われ、その多くの被爆者は何の賠償もなく世代から世代へ放射能の影響を受け今なお苦しみの中で生きているという事実を知りました。
ジェルトンさんは「自分が体験したことを世界中の人に知って欲しく様々な活動をしています。未来は若い人のものだから若い人たちに伝えていこう。」とにこやかに呼びかけていました。海外代表者の周りには休憩時間でも質問する人たちが集り熱心に話をしている姿がありました。
 参加者発言の中からは、京都の清水寺で観光客に向けての原爆展を開催した様子や愛知の青年を中心に被爆者から聞き取りをしてそれをDVDにまとめ普及していることなど各地域で様々な創意あふれる活動を聞いてとても感心しました。日常的に被爆の実相を広める活動をしている人たちがこんなにもいることに驚いたし、確実に次世代に受け継がれていると感じました。
福島からは「以前、住民が東京電力主催の原発をつくる説明会に参加すると資料の中に毎回現金が入っていた。九州から北海道7ヶ所の原発の視察旅行が無料で行なわれ、良い面しか話さずお金で人の心を買うようなやりかたで住民を押さえ込んでいた。」
「また避難先では、福島ナンバーの車に"福島に帰れ"と張り紙をされる嫌がらせがあったり子どもたちが差別やいじめを受けている。」ことなどテレビや新聞では報道されない悲痛な報告もありました。私たちは、被爆者の苦しみを知らないように原発による被災者の苦しみをあまりにも理解していないと思いました。
この分科会には1人で参加しましたが、愛知のDVDを昼休みに参加者で見たり、お隣の席の年配の方と「うちの3人の子は"裸足のゲン"をボロボロになるまで回して読んでいましたよ。」
「え〜私はいまだにリアル過ぎて全く読めません。」といった会話をしながら情報交換もして、とてもいい交流がもててよかったです。
8月6日、平和記念式典に参加しました。私は葛飾の仲間に連れられ運よく一般席に座ることができました。暑い中でも会場の周りには人があふれ、外国人の姿もちらほら見られ・・・何人かの大人たちの宣言の後、小学6年生の子どもたちの「平和への誓い」がとても素晴らしかったです。毎年テレビの画面からでも感動していましたが、その純粋な想いを聞きながら普通の生活を送ることができるありがたさを感じ、この子たちの未来社会には核兵器や原発もない安心した社会を手渡さなければいけないと思いました。子どもが発することって真実だと改めて学びました。式典が終わっても平和公園では様々なセレモニーや子ども向けの催し物などが行なわれていて、この場にずっといたかったし本当は灯籠流しも経験してみたかったです。
今大会は、原発に反対する運動が広がっている表れなのか若い集団をたくさん見かけました。
若者がこの運動に関心を持っている、それだけで勇気づけられる思いがしたし、明るい兆しを感じました。こうして仲間と一緒に広島に来られる自分の境遇にも感謝の気持ちが湧いてきて、我が身を振り返り、反省することもありました。(生活面とか・・)
長崎・広島の地を訪れ被爆の実相に向き合うことは乗り越えられた気がするけど、それだけでなく今度は歴史をしっかり学びながら人に伝えていく側にならなくては!と思います。
私たちひとりひとりが自ら学んで行動を起こす・発信していくことが核兵器をなくす・社会を変える一歩になると確信できた素晴らしい大会でした。ありがとうございました。

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