高齢者犯罪２０年前６．３倍（２０１２年犯罪白書）

出所後の行き先がない高齢者、女性の再犯増

　法務省の「２０１２年版犯罪白書」によると高齢者の犯罪が２０年前に比べ、６．３倍増となっている（48,637件）。罪名別では万引き・窃盗が男子高齢者６３．１％、女子高齢者は９１．９％（うち万引き80.8％）と、他年齢層と比べ特徴的に高い。また、刑務所から出所後の引受人や住居がないために、仮出所できず、満期で出所する割合が高いそうだ。しかも満期で釈放されても４７％が引受人もいないという。
　データをもう一つ。刑務所への再入者の人員について、女子は平成12年（2000年）以降増加傾向にあり、23年は914人であった再入者率は41.1％）。
　高齢者あるいは女性といった社会的弱者の経済的な困窮や社会的な孤立の問題がこのデータから如実に見て取れると私は思う。年金だけでは暮らせない。仕事も高齢でかつてのようにできない。周りにだれも助けになってくれる人もいない。そのため食うに困って店頭の食料品を盗んで逮捕。
　「刑に服する」ことが社会でいきることより楽に思えてしまった状況をつくりあげた世のなかをなんとか変えていかなければならない。
　高齢者は、いまの日本を作り上げてきた「功労者」であり、尊敬すべき存在なのだから。