【15.04.14】長時間過重労働によるうつ病の労災が認められる!!
『労働組合があったから救われた。ありがとう』
東京地方本部の組合員である、株式会社が運営する有料老人ホームの元施設長兼看護師のMさんの労働災害が認定されました。
Mさんは埼玉県にあった有料老人ホームにホーム長として勤続していましたが、実態としては職員の採用や給与決定などができない、いわゆる「名ばかり管理職」の立場にありました。施設は「24時間看護体制」を掲げて運営されていましたが、夜勤のできる看護師が常態的に欠員状態にあり、本社にいくら補充を希望しても聞き入れられず、結果として看護師の資格と経験があるMさんが「日中はホーム長、夜間は看護師」「丸3日〜4日3時間の仮眠しかとれず自宅に帰れない」という事態に苦しめられました。
その結果、職場に行けなくなり、一昨年10月に、病院からは「過重労働による精神疾患」と診断されました。
この事態に対して、Mさんは福祉保育労東京地本に相談し、労働基準監督署への当事者手続き、代々木法律事務所の弁護士による力添えのもとで、会社からも必要書類の提出をさせたうえで、所轄であった春日部労働基準監督署に療養補償の認定手続きをおこないました。
Mさんは病気により現在も労働に就くことができない状況でしたが、労働基準監督署による面接なども受け、4月6日に労災認定の決定がされました。
Mさんは
「労災が認定されて本当にうれしい。私一人ではどうすることもできなかった。労働組合が支えてくれたからこそ、認定までの長い間も耐えられることができた。もし、病気が治ったら私もみなさんとともにがんばりたい」とのお礼の電話をいただきました。
※過労死ライン⇒脳や心疾患の発症前1か月100時間以上の時間外労働
1日4時間以上の残業(月20日勤務の場合)
2か月前〜6ヶ月前 月平均80時間以上の時間外労働をいいます。
●労災認定のたたかいを通じて実感したこと(教訓)
?時間管理をきちんと記録すること
Mさんが労災認定を勝ち取った最大の要因は、過去9ヶ月に及んで正しく打刻していた自らのタイムカードを持参して相談し、いわゆる過労死ラインとよばれる超長時間労働の実態が長期間存在した事実が立証できたことです。
実はMさんの場合、地方に離れて住んでいた母親が亡くなったアクシデントも期間中にありました。このようなことがあった場合は、「疾患の原因が仕事以外にも存在した」とされるケースも少なくありません。長時間労働による精神疾患であることを明確に立証できる時間管理がされていないと労働災害に認定されない場合が残念なことに大変多いのが現実なのです。
「時間管理をタイムカードではなく、出勤簿でおこなっている」あるいは「所定の時間になったらタイムカードを打刻してから仕事をする」などの状況がありませんか? 労働相談だけでなく組合のある職場でもこうした実態が存在しています。
「タイムカードは命のカード」。万が一のときに自身や家族を絶望の淵に追い込ませないためにも、あるいは長時間労働職場のなかまを守るためにも組合として労働時間を適正に管理することを求める。実現できない場合は、メモなどで自身を管理することが必要です。
◎東京地本の職場でも新たに3職場でタイムカードの設置を勝ち取る!
⇒15春闘では3つの職場にタイムカードの設置を実現しました。
?『労働組合があったから救われた。ありがとう』
これはMさんからの第一声でした。労働災害の認定には多くの困難がありました。労働基準監督署との話、証拠となる資料の整理、会社に証明を出してもらうこと、
労基署職員との1対1での面接、そしてなによりも「認定されるんだろうか」と長期間にわたり耐えること。労基署に同行したり、いっしょに話をしたり。
何かあったときにつながれるなかまがいたこと。そのことで病気はしたけれども、未来への光明が差したよろこび。
組合員のみなさんがいて、組合が職場をこえて困っている人を助けることができる。いままさに「労働組合の存在意義は?」と新入職員や組合に加入していないなかまに問われた時、自分たちのとりくみとともに、こうした大切な役割を果たしていることを伝えてください。
福祉保育労が福祉に働くすべてのもののために存在していることをもっともっと発信していきましょう!